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2019.04.24 脳梗塞のリハビリ

脳のリハビリ 運動学習理論について

保本 夢土

この記事の監修者

保本 夢土

理学療法士

スキーマ理論

こんにちは。脳梗塞リハビリ静岡BOTの金原です。第二回目の今回は、現在までに提唱されている運動学習理論の中で、「スキーマ理論」についてお話ししたいと思います。

我々の脳は、容量に限界があるので、すべての環境下ですべての運動を一つ一つ記憶して学習することは不可能です。例えば、「投げる」動作を例に挙げると、野球のボールを投げるのも、ソフトボールを投げるのも、ドッジボールを投げるのも、細かい部分は違えど、「投げる」という動作には共通した特徴があります。これを、「一般化された運動プログラム;GMP」と呼びます。

我々は、このGMPを脳に記憶することで、脳の負担を軽減させていると考えられています。そして、もう一つ重要な言葉で、「スキーマ」と呼ばれるものがあります。スキーマとは、ある運動を行ったことによって生じた結果と、その運動を行う際に使用した運動のパラメータの関係です。例えば、ソフトボールを一回投げて20m跳んだとします。次に投げると、10m跳んだとします。そうすると、1回目と2回目の力の入れ具合から、「15m投げるにはこれくらいの力で投げればよい」というのが投げていなくても何となくわかってきます。このように、我々は多様な経験を積む中で、その時の力の入れ具合を学習し、様々な環境下に適応していけるのだと考えます。

これはリハビリにおいて非常に重要なことで、リハビリでも同じことの繰り返しではなく、環境や目標などを微妙に変えていくことで、多様な環境に適応できる身体作りを目指します。これを“繰り返しで無い繰り返し”と呼んだりもします。

明示的・暗示的学習

運動学習は初期には意識的(明示的学習)ですが、学習が進むにつれて自律化されて運動そのものは意識されなくなります(暗示的学習)。運動学習は初期・中期・発展期の3つの段階に分けられます。

1.初期:多くの感覚情報の誘導に基づいて、ゆっくりとした運動遂行が行われる。
2.中期:感覚と運動が脳で統合され、運動遂行のスピードが増す。
3.発展期:スピードのある、自律化された、技能的な運動遂行が行われる。

実際のリハビリに照らし合わせると、初期には、主にセラピストの誘導や環境を整えることで運動時の姿勢を整え、運動遂行を確実に行うことを追及します。段階が進むにつれて、より機能的・実践的な課題を反復経験する中で、自ら姿勢を整えて運動をコントロールすることを学んでいきます。最終的には課題が自立して行えることを目指します。

脳梗塞リハビリ静岡BOTでは、この運動学習モデルに基づき、目標となる課題の達成に向けて、セラピストがお客様の運動や姿勢を分析し、適切な場所を適切な量だけ助けながら、お客様の課題達成を支援しています。

文責 理学療法士 金原賢児

保本 夢土

この記事の監修者

保本 夢土

理学療法士

経歴:2008年に鈴鹿医療科学大学 理学療法学科を卒業し、理学療法士国家資格を取得。同年~2018年まで静岡県内の療養期の病院、介護老人保健施設に勤務し、慢性期の患者様に携わる。その中で脳血管障害に対する治療を中心に学び、脳卒中患者様を専門に携わりたいという思いから、2019年に脳梗塞リハビリBOT静岡に勤務。運動麻痺の改善に最善を尽くすこと、お客様の身体および精神的な悩みを共有し、少しでも表情が明るくなるよう心がけています。

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