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2019.05.02 脳梗塞のリハビリ
脳のリハビリ 運動を学習するための手がかり
この記事の監修者
保本 夢土
理学療法士
今回は、運動を学習するための手がかりであるフィードバックについてお話しします。フィードバックとは、行動による結果を、行動した本人に具体的に教えてあげることと言えます。アドバイスと言い換えてもよいかもしれません。
フィードバックには、内在的フィードバックと外在的フィードバックの二つに分かれます。内在的フィードバックとは、自分自身で自分の運動に関して考える作業を言います。一方で外在的フィードバックとは、他者からの運動に関する情報のことを言います。一般的なフィードバックとは、外在的フィードバックを意味することが多いです。
フィードバックの仕方として、どこに注意を与えるかも重要となります。例えば、野球のピッチャーに対してアドバイスをする時、「もっと肘の位置を高く」とか「もっと腕を振って」とか、自分の身体運動への注意を促すインターナルフォーカスのやり方があります。一方で、「最後までキャッチャーミットを見て」とか、「低めを狙って投げて」とか、自分以外の環境に焦点を当てるやり方をエクスターナルフォーカスと呼びます。
「フィードバックはたくさん与えた方がいい!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ところが、実際にはフィードバックを与える頻度がある程度少ない方が、学習効果が高まると言われています。例えば、野球のピッチャーが1球投げた後、次の1球を投げる間に「もっとこうした方がいいかな」という内在的フィードバックが行われています。そのため、1球毎に「もっとこうした方がいい」と外在的フィードバックが与えられ続けると、自分で考える意欲を失い、外部からのアドバイスに依存的になってしまいます。
また前回のコラムで、運動学習段階の話をしましたが、初心者は自分の動きをゆっくりと繰り返しながら学習するため、身体の動きに焦点を与えるインターナルフォーカスのフィードバックが重要となります。ところが、運動が習熟すると今度は動きをよりスピーディーに自動的に行う事が求められるため、インターナルフォーカスのアドバイスではかえって学習効果が損なわれると言われています。
このように、フィードバックのタイミングや頻度、内容について工夫することで運動学習の効果を高めることができます。
文責 理学療法士 金原賢児
この記事の監修者
保本 夢土
理学療法士
経歴:2008年に鈴鹿医療科学大学 理学療法学科を卒業し、理学療法士国家資格を取得。同年~2018年まで静岡県内の療養期の病院、介護老人保健施設に勤務し、慢性期の患者様に携わる。その中で脳血管障害に対する治療を中心に学び、脳卒中患者様を専門に携わりたいという思いから、2019年に脳梗塞リハビリBOT静岡に勤務。運動麻痺の改善に最善を尽くすこと、お客様の身体および精神的な悩みを共有し、少しでも表情が明るくなるよう心がけています。