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2023.03.20 脳梗塞とは
脳梗塞とは?症状と原因を脳梗塞リハビリBOTスタッフが解説
この記事の監修者
加藤 隆三
理学療法士
ある日突然、自分や家族が脳梗塞になってしまったらどうしようと不安に感じる方もいると思います。脳梗塞発症のリスクは、日々の生活習慣を見直すことで下げることが出来ます。こちらの記事は、数多くの脳梗塞後遺症に悩むお客様を改善してきた理学療法士が、脳梗塞を引き起こす原因や脳梗塞の方に現れる症状について解説していきます。
目次
脳梗塞とは
脳の血管が「詰まる」「裂ける・破れる」ことで生じる脳の病気を「脳卒中」と言います。脳卒中の中でも、脳の血管が詰まり細くなってしまうことで、脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり壊れてしまうことを、「脳梗塞」と言います。さらに「脳梗塞」の中でも、脳の血管の中でコレステロールなどが溜まり血の塊(血栓)が形成され、血管が徐々に細くなって詰まってしまうことを「脳血栓症」と言います。また心臓などでできた血栓が血の流れで飛んでしまい、脳の血管に詰まってしまうことを「脳塞栓症」と言います。いずれにせよ脳血栓症、脳塞栓症ともに血栓が出来てしまうことが原因ですので、普段から血栓が出来にくい規則正しい生活習慣がとても大切になります。
では脳梗塞の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。主な症状として運動麻痺があります。運動麻痺は障害された脳とは反対側の半身で生じます。例えば、右の脳が障害された場合は左半身、左の脳が障害された場合は右半身に麻痺が生じます。ただし、梗塞が起きた場所によって症状が異なるため、症状も人それぞれで違ってきます。
図1のように脳の血管の先端の細い血管で梗塞が起きると栄養や酸素を送っている脳細胞の限定されるため障害を受ける部位は狭くなります。しかし図2のように脳の血管の根幹にある太い血管で梗塞が起きるとその先の細い血管全てに血液が送られなくなるため、脳の障害を受ける範囲も広くなってしまいます。脳の障害を受ける範囲が異なるということは、それに応じて麻痺などの症状とその程度も異なるということになります。
脳梗塞が起こりやすい時期や時間帯とは
脳梗塞が起こりやすい時期とは
一般的に脳梗塞は6〜8月などの気温が上がりやすい時期に多いと言われています。その理由としては気温が上がると体は熱を放出するため、汗をかいて熱を外に逃がそうとします。そうすると体内の水分量が減り、いわゆる「脱水状態」になります。
脱水状態になると、図3のように体を流れている血液が「ドロドロ」の状態になり、血栓が形成されやすい状態になってしまいます。血液が「ドロドロ」にならないようにするために、日中や就寝前など適度な水分補給を心がけましょう。
脳梗塞が起こりやすい時間帯とは
脳梗塞は安静にしている時間帯(睡眠中、朝起床時2時間以内)に発症しやすいと言われています。その理由として、血圧の日内変動(1日の中での変動)が影響しており、夜間や明け方は血圧が下がるため、血栓が形成されやすいと考えられています。就寝前や明け方に水分を補給するようにしましょう。しかし、1日の血圧の変動パターンには個人差があるため、誰しも夜間や明け方に発症しやすい訳ではありません。
脳梗塞の種類と原因
脳梗塞の症状として、よく知られているものに「体の片側が動かなくなるなどの運動障害、痺れや感覚が鈍くなるなどの感覚障害」「物の使い方や動作の手順が分からなくなってしまうなどの高次脳機能障害」「言葉が出にくくなる、ろれつが回らなくなるなどの言語障害」があります。上記のような症状が、ある日突然起こった場合には、脳梗塞など脳の病気の可能性が高いです。脳梗塞は梗塞の起こり方や発症の原因などによって、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓症脳梗塞」「心原性脳梗塞症」の3つに分けられます。
脳梗塞の種類①「ラクナ梗塞」と原因
「ラクナ梗塞」とは脳の細い血管が多発的に詰まってしまい、脳の複数箇所で小さな梗塞が起きることで、日本人に多いことが特徴と言われています。ラクナ梗塞は麻痺などの症状が出ないことがあり、脳ドックなどでM R IやC Tを撮影した際にたまたま見つかるケースもあります。このようなケースは「隠れ脳梗塞」や「無症候性脳梗塞」と呼ばれています。ラクナ梗塞に関しては、意識の喪失や重度の麻痺などを生じることは稀で、緩徐(緩やか)に進行すると言われています。しかし、小さな梗塞でも梗塞箇所が増えるにつれて段階的に症状も進行していくため、再発予防が非常に重要です。
ラクナ梗塞の原因としては、①血管の加齢による変化②生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質以上症など)が挙げられます。①血管の加齢による変化について、血管は年齢を重ねるとともに傷つきやすくなります。血管が傷ついたところに血が溜まり、血栓が形成されやすくなり、脳梗塞も発生しやすくなります。そのため、ラクナ梗塞は血管が傷つきやすい高齢者に多いと言われています。加齢とともに血管が傷ついてしまうのは自然な事ですが、それをさらに悪化させるのが、②の生活習慣病になります。生活習慣病に含まれる糖尿病や脂質異常症は、血液中の糖分(血糖)が血管を傷つけ、悪玉コレステロールなどが傷ついた血管にこびり付いて血栓が形成する要因になってしまいます。
脳梗塞の種類②「アテローム血栓性脳梗塞」の原因
アテローム血栓性脳梗塞とは脳の中でも太めの血管や頸動脈で動脈硬化が進み、血栓によって血管を詰まらせたり、形成された血栓が血管から剥がれて、流れた先の血管を詰まらせたりすることで起こる脳梗塞です。またラクナ梗塞より太い血管が閉塞されるため、脳の障害部位も広くなり症状が体に現れやすい梗塞になります。(図2を参照)
アテロームとは図4のように動脈硬化によって、血管の内側に脂肪(コレステロールなど)のドロドロとした物質がこびり付いて溜まってしまった状態のことを言います。そのアテロームが徐々に分厚くなり血管を狭くし、剥がれおち流れた先の血管を詰まらせることが原因で脳梗塞が起こります。そのため、動脈硬化(アテローム硬化)が進み、血管が細くなるほどアテローム血栓性脳梗塞を発症するリスクは高くなります。細くなった血管に一時的に血栓が詰まり、麻痺などの症状を引き起こす一過性脳虚血発作(脳梗塞の前触れ発作)を引き起こしやすいのが、このタイプの特徴です。
前述の通り、アテローム血栓性脳梗塞の主な原因は「動脈硬化」です。ラクナ梗塞と同様に動脈硬化の原因になり得る「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などを患っている方は注意が必要です。
脳梗塞の種類③「心原性脳塞栓症」の原因
心原性脳塞栓症とは「心臓の中でできた血栓が剥がれ落ち、脳まで流れてしまい脳内の血管を詰まらせてしまうこと」を言います。心原性脳塞栓症の原因としては、心臓の心房と呼ばれる部分が小刻みに痙攣を起こす「心房細動」や心臓の弁が動きにくくなる「弁膜症」によって、心臓内で血の流れに淀みができ、血栓が形成されやすくなることが挙げられます。特に心房細動が原因であることが近年増加傾向であり、年齢とともに心房細動を引き起こすリスクは高まります。無症状の場合もあるため、定期的に健康診断等で心臓に異常がないか確認することをお勧めします。
「心房細動」や「弁膜症」により心臓に出来てしまった血栓が脳に飛んでしまい、脳の太い血管を詰まらせてしまいます。脳の血管には何も異常はない状態から突然血栓が詰まるため、アテローム血栓性脳梗塞のように前触れ発作はなく、急激に症状が出現します。また心臓でできた血栓は比較的大きく、脳の中でも太い血管に詰まってしまうことから重度の麻痺や意識障害など重篤な症状を引き起こすことがあります。時には死に至るケースもあるようです。
脳梗塞の治療方法
いざ脳梗塞が発症してしまった場合、病院では一体どのような治療方法が選択されるのでしょうか?大きく分けると、「薬物療法」と「手術療法」に大別されます。脳梗塞に関しては、基本的に点滴等の薬物療法を中心とした保存的な治療を行います。一方で、現在の症状が改善する可能性が高い、あるいは今後再発リスクが高いと考えられる場合は手術療法も検討していきます。
脳梗塞の薬物療法
脳梗塞の薬物療法としては、「抗血小板剤」、「抗凝固剤」、「降圧剤」、「スタチン系薬剤」といった薬物が使用されます。
脳梗塞リスクの高い方はベースに動脈硬化が存在しているケースが多いのですが、動脈硬化を伴っている場合は脳血管の内側の膜が非常に傷つきやすくなっています。何かきっかけがあり内側の膜が傷つくと、その部位を修復するための血液成分(血小板)が集まってきます。しかし、集まり過ぎると逆に血小板が血栓の原因になってしまいます。更にこの血小板は止血のための血液を固める成分(凝固因子)を放出します。例えるなら、血管内に「かさぶた」が形成されるイメージです。言わずもがな、この凝固因子は血栓を更に硬く大きくし、脳梗塞のリスクを高めてしまうという訳です。
そこで使用されるのが「抗血小板剤」と「抗凝固剤」。これらの薬剤を使用することで上記のようなリスクを軽減させることが出来ます。
また、動脈硬化が存在している場合は特に高血圧により血管が傷つきやすくなるため、血圧をコントロールするための「降圧剤」、動脈硬化や高血圧の原因因子として考えられる高脂血症を治療するための「スタチン系薬剤」も脳梗塞の治療薬として使用されます。
脳梗塞治療に使用する薬剤
薬剤の種類 | 効果 |
---|---|
抗血小板剤 | 血小板が一部分に集まるのを抑える |
抗凝固剤 | 血液を固まりにくくする |
降圧剤 | 血圧を下げる |
スタチン系薬剤 | 高脂血症、動脈硬化、高血圧等の改善 |
脳梗塞の手術療法
脳梗塞の手術療法としては「血管吻合術(バイパス術)」「頭部内頚動脈内膜剥離術」「頸部内頸動脈ステント術」が挙げられます。
脳梗塞によって流れが悪くなってしまった部分があっても、その部位を迂回するように血管をつなぎ血流の迂回路を作ることで、必要な血流を確保することが出来る場合があります。そういったケースで選択されるのが「血管吻合術(バイパス術)」です。
一方、脳梗塞の原因になりやすい部位として内頚動脈という動脈が挙げられます。この部位は脳へ血液を流す重要な血管ですが、動脈硬化で狭窄化(細くなること)することが非常に多いとされています。この部位での動脈硬化は脳梗塞に繋がるリスクが高いため、硬くなった内膜を手術により取り除くことで脳梗塞を予防することができます。こういった手術を「頭部内頚動脈内膜剥離術(CEA)」と言います。
また、硬くなった内膜を取り除くのではなく、ステントという金属のチューブを狭窄で狭くなっている部位に入れ、内側から広げることで血流を確保する「頸部内頸動脈ステント術(CAS)」という手術もあります。
バイパス術は血流の迂回路を作る手術、CEAとCASは血流を良くする手術と捉えるとイメージしやすいと思います。
脳梗塞治療で行われる手術
手術の種類 | 目的 |
---|---|
血管吻合術(バイパス術) | 血流に迂回路を作る |
頭部内頚動脈内膜剥離術(CEA) | 硬くなった血管内膜を取り除き、血流を良くする |
頸部内頸動脈ステント術(CAS) | 狭くなった血管を広げ、血流を良くする |
脳梗塞を招く、動脈硬化や血栓の5大危険因子
はじめに「動脈硬化」と「血栓」について、簡単に解説させていただきます。
「動脈硬化」とは、血管内にコレステロールなどが沈着してしまい、塊(プラーク)を形成され、それによって細胞が変性(線維化)し、硬くなってしまう状態のことです。特に総コレステロールや悪玉(LDL)コレステロール、中性脂肪が多い方、善玉(HDL)コレステロールが少ない方は、プラークが形成されやすくなります。このプラークが蓄積すると、血液の通り道が狭くなってしまい、血液の流れが悪くなります。動脈硬化は自覚症状がないため、知らず知らずのうちに状態が悪化してしまっている場合があります。
「血栓」はプラーク部分の膜が破れたり、傷つく事で血液が固まり、形成されたりする塊のことを言います。血栓が大きくなり血管が詰まる、血栓が剥がれ別の場所で血管を詰まらせてしまう事で脳梗塞が生じます。
このように脳梗塞の原因となる「動脈硬化」や「血栓」を作りやすくしてしまう五大危険因子について、取り上げていきたいと思います。」
脳梗塞の危険因子「高血圧」
心臓はポンプの役割を担い、一定のリズムで拡張と収縮を繰り返して、全身に血液を送り出します。血圧とは、心臓から送り出される血液が血管を押す力のことで、さまざまな要因で変動します。心臓が収縮して血液を送り出すときに血管にかかる血圧を収縮期血圧、心臓が拡張して全身の血液が戻ってくるときの血圧を拡張期血圧と呼び、正常血圧は115/75mmHg以下と言われています。逆に高血圧は自宅で測定する場合と診療室等で測定する場合で数値の基準が変わります。自宅では135mmHg(収縮期)、85mmHg(拡張期)以上、診療室では140mmHg(収縮期)、90mmHg(拡張期)以上がそれぞれ高血圧の基準になりますが、一般に、医療機関での測定は緊張して高めに出やすいため診療室血圧の基準値は高く設定されています。高血圧は5大危険因子の中で最大のリスクと考えられております。血圧が高い状態が続くと血管壁が傷つき、弾力性がなくなっていくことが原因で動脈硬化が進みます。そして、心臓の筋肉に負担がかかり、心肥大が起こることで心房細動のリスクも上がるため、早急な改善が必要になります。
脳梗塞の危険因子「脂質異常症」
日本動脈硬化学会. 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」.平成29年版,2017.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/
1/107_73/_pdf,(参照 2022-07-22)
アテローム血栓性脳梗塞の直接的な危険因子ともいえるのが、脂質異常症です。特にLDLコレステロール(悪玉)が増える、高LDLコレステロール血症に注意が必要です。コレステロールは細胞膜やホルモンの材料になるなど生命維持に欠かせないものです。そのコレステロールを全身に運ぶ役割を担うのがLDLコレステロール、逆に余分なコレステロールを回収するのがHDLコレステロール(善玉)と呼ばれています。コレステロールは生命維持に不可欠でありながら増えすぎることが原因で血管壁を傷つけ、その中に入り込んでアテロームを形成します。アテロームは血管壁を押し上げて血管の内膜を狭くするほか、アテロームが破れて血栓ができれば、脳梗塞のリスクが更に上がります。HDLが減ればLDLが増え、中性脂肪が増えるとHDLが減り、LDLが小型化して血管壁に入り込みやすくなるため、バランスが重要と言われています。また、脂質異常症はLDLコレステロールが140mg/㎗以上、HDLコレステロールが40mg/㎗未満、中性脂肪が150mg/㎗以上、non-HDLコレステロールが170mg/㎗以上のうち、いずれか1つでも当てはまると診断されます。
脳梗塞の危険因子「糖尿病」
糖尿病も高血圧などと並ぶ動脈硬化の重大な危険因子になります。糖尿病を患っている方は、そうでない方よりも、脳梗塞を起こす危険性が約2倍も高いことがわかっています。糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎた状態が慢性的に続く病気で、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病に分類されます。一般的な糖尿病のほとんどがⅡ型糖尿病といって、悪い生活習慣が引き金となるタイプになります。血糖値は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによってコントロールされますが、糖尿病になるとインスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりして血糖値が高くなります。
血糖値が高くなると、血管内に溢れている血糖が血管内の膜を傷つけてしまうため、傷になった部分からプラークの沈着が始まり、動脈硬化を促します。また糖尿病の方は傷の治癒や炎症を鎮静化する力が弱まっており、一度血管内に傷ができると治りにくいことから動脈硬化が進行しやすいとも言われています。糖尿病の診断基準は空腹時血糖値126mg/㎗以上または随時血糖値200mg/㎗またはブドウ糖負荷後2時間値200mg/㎗以上かつHbA1c6.5%以上となっています。HbA1cは、過去2ヵ月間の血糖の平均値となります。3つの血糖値のうちいずれか1つと、HbA1cの基準に該当すると、この場合も糖尿病と診断されます。既に糖尿病を患っている方は定期的な受診を行い、主治医の下、血糖値のコントロールを行うようにしましょう。今は糖尿病を患っていない方でも、ちょっとした生活習慣の乱れから糖尿病を発症する場合があるため、定期的な運動と規則的な食事等を意識して、糖尿病を予防していきましょう。
脳梗塞の危険因子「メタボリックシンドローム」
メタボリックシンドロームは肥満を土台に、高血圧、脂質異常、高血糖のいずれか2つ以上をあわせ持ち、腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上の状態のことです。これらは全て動脈硬化の危険因子であり、合併する数が多いほど、動脈硬化が進みやすくなります。また、メタボリックシンドロームの基準に当てはまらなくても、おなかがぽっこりと出ているような内臓脂肪型肥満がある場合は油断できません。内情脂肪から分泌される悪玉物質により、糖尿病や高血圧、脂質異常症を招きやすいことが分かっています。肥満を放置すれば動脈硬化の危険因子は増え、やがて脳梗塞のリスクを高めることにつながります。メタボリックシンドロームの診断基準である「肥満」「高血圧」「高血糖」「高コレステロール血症(脂質異常)」という危険因子を1つも持っていない人に比べて、3~4個合併している人の脳卒中による死亡リスクは、約5倍になるといわれています。
メタボになってしまう原因として、食習慣の乱れや運動不足、飲酒・喫煙、不規則な生活が挙げられます。食習慣の乱れとして注意しなければいけないのは、「朝食を抜く」「間食や夜食を食べる」「外食が多い」「揚げ物や味付けが濃い食事」になります。運動を始めるのが億劫なかたはまずは食事の見直しからしてみても良いかもしれません。
脳梗塞の危険因子「不整脈」
心原性脳塞栓症の原因となる心臓の血栓は、不整脈が大きなリスクとなります。不整脈とは、心臓の拍動のリズムが乱れた状態のことです。皆さんも経験があると思いますが、健康診断の心電図検査などで不整脈を見つけることができ、状態によっては治療が必要になります。
不整脈は大きく3つに分かれます。心臓の拍動が非常に速くなり、代表的なものに「心房頻拍」「心房細動」などがある頻脈、頻脈は1分間以内に100回以上脈拍数がある状態をいいます。2つ目は心臓の拍動がゆっくりになり、拍動と拍動の間隔があく徐脈は脈が1分間に50回以下の場合をいいます。心房の収縮が遅かったり起こらなかったりする「洞不全症候群」は、徐脈にあたります。3つ目は心室に血液が十分にたまる前に収縮することで、ときどき心臓の拍動がとぶ期外収縮です。期外収縮は不整脈では最もよくみられるもので、多くの場合は治療不要です。
特に脳梗塞と関連の強い不整脈としては、心房(心臓の上半分)が小刻みに震える「心房細動」があります。本来であれば、心房が力強く収縮・弛緩して血液を送り出しているのですが、心房細動の場合、心房が小刻みに震えるだけですので、血液をしっかり送り出すことが出来ず、心臓内に血液の淀みが生じます。その結果、淀みが起きている箇所で血栓が形成されやすくなります。心房細動を患っている方は健常者と比べ、脳梗塞の発症率が2~7倍にもなると言われています。また、心房細動は老化現象の一つともいわれ、欧米の研究によると60歳以下では1%ほどですが、80歳以上では6%以上にみられるなど、加齢とともに増加します。
脳梗塞を予防するために、規則正しい生活習慣にしよう
脳梗塞を予防するためには、適正体重の維持と運動が欠かせません。なぜなら、脳梗塞の発症には、肥満が深く関わっているからです。高血圧・脂質異常症・糖尿病・メタボリックシンドローム・不整脈といった脳梗塞を招く原因を減らすことが大切です。1つひとつの危険因子は軽くても、いくつか重なると脳梗塞のリスクは上昇します。日々の生活習慣(禁煙、節酒、健康的な食事、適正体重維持、運動)を振り返り、問題点があれば改めるようにしましょう。
脳梗塞の後遺症で、リハビリをご希望の方へ
脳梗塞リハビリBOT静岡では脳梗塞の後遺症による手足のつっぱり(痙縮)の改善など、さまざまなメニューを用意しております。90分体験プログラムでその効果を感じて頂くのが最もおすすめの方法ですが、まずは一度相談を、という方には「専門家への電話相談」というサービスをご用意しております。以下フォームから必要事項をご入力頂くと、脳梗塞リハビリBOT専属の理学療法士から折り返しご電話をさせていただいております。ぜひお気軽にご利用下さい。
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ライター
寺澤 慶大
理学療法士
この記事の監修者
加藤 隆三
理学療法士
2012年に常葉学園静岡リハビリテーション専門学校を卒業し、理学療法士免許を取得。資格取得後は整形外科やスポーツ現場、介護サービスにて様々な分野のリハビリテーションに携わる。介護現場ではお客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事する。2018年から脳梗塞リハビリBOT静岡の所長に着任、脳梗塞の後遺症に悩まれている方のリハビリやご家族の支援も行う。また地域リハビリテーションにも力を入れており、介護予防教室を50回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対する講演や大学教授との共同研究等を行っている。地域の皆さんがいつまでも生きがいを持って生活できるよう、最善のリハビリを提供することを心がけている。
急性期脳神経外科病院での10年間の臨床経験をはじめ、デイケア、デイサービス等の介護分野での経験や自費診療、スポーツトレーナー活動など幅広い分野でのリハビリ業務を経験。現在は整形外科クリニックで運動器疾患に悩む患者様のリハビリに携わっている。「病名に捉われず、その人の本質的な運動機能を改善するリハビリを提供する」がモットー。理学療法士としての仕事は「趣味」であり「天職」。多角的な視野や思考を大切に考えており、常に新しい知見や考え方を取り入れながら日々理学療法士としての知識・技術を高めるべく研鑽を続けている。また、世の中の健康リテラシーを高めるためWebライターとしても活動。理学療法士としての知識や経験を元に、医療や介護に関する情報を発信している。
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