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2019.11.21 脳梗塞のリハビリ

片麻痺と装具~装具なしで歩くためのリハビリ~

加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

片麻痺によって歩きにくくなると、入院中に装具を作成し、場合によっては杖も使用し、とにかく一生懸命歩く練習をしてきた方はたくさんいらっしゃると思います。しかし、何カ月に及ぶリハビリを行っても装具を卒業することが中々難しい方もいます。そして、入院時のリハビリで卒業できなかった場合、退院後に装具を卒業することはさらに難しくなり、同じ装具を何年間も使い続けている方も多いと感じます。

装具は身体を上手くコントロールできない方にとって必需品です。しかし装具を卒業するためには、装具を使ってとにかく歩くだけではなく、装具のメリットとデメリットを知った上でリハビリを行う必要があります。では装具のメリットとデメリットとは何でしょうか?

装具のメリット・デメリット

■メリット

・より動的でバランスのとれた歩行をもたらします。
・股関節、膝股関節の筋肉の機能的活性化が促進されます。
・尖足(つま先が不自然に変形すること)や拘縮(かたまること)の予防となります。

■デメリット

・長期装着により、装具で固定される箇所の筋肉の活性低下や萎縮、装具への依存などが懸念されます。
・足部内在筋(足の中に存在している筋肉)の働きを抑制しています。

足部内在筋の働き

足部はダイナミックな活動に重要な役割を果たし、多くの結合や自由度を持つ複雑な構造となっております。複雑な人間の足の構造は、多くの幅広い機能を可能にします。例えば歩くという場面において、足部は踵の接地や後方への蹴りだしにおいて安定してなければなりません。足部はバネのような特徴を持っており、踵の接地時に弾力的なエネルギーを貯めたり放出したりしています。これは、アーチの変形によって可能となり、内在筋などによってコントロールされています。足部にある内在筋は、常にその形を柔軟に変化させています。また足の骨・靭帯などの構造は体重による負荷を軽減させるために、その構造をダイナミックに変化させる働きがあります。これらは、「立つ」「歩く」ために必要な情報を生み出し続け、姿勢保持を可能にします。歩く際に必要な推進力も生みだします。
上記のような足部の内在筋、骨・靭帯などの構造のダイナミックな変化は、装具をつけたまま歩くだけでは、起きにくいと考えられます。歩く場面で、足部の内在筋や骨・靭帯などの構造がダイナミックに変化することで、地面からの感覚情報を受け取りやすくなるため、リハビリでは直接足に関わる必要があります。裸足もしくは薄い靴下のほうがバランスを制御するためのリハビリに適しています。

Foot Coreの概念

Foot Coreとは腰椎骨盤コアスタビリティー(体幹の安定性)の概念を足部に適応させたものです。
Foot Coreには他動的下位組織、自動的下位組織、神経系下位組織があります。

【他動的下位組織】
足部の様々なアーチを維持する骨、靭帯や関節包(関節を囲んでいる袋状の被膜)から成ります。
【自動的下位組織】
足部に付着する筋や腱から構成されています。
【神経系下位組織】
他動的下位組織と自動的下位組織に関連した足底筋膜、靭帯、関節包、筋や腱における感覚レセプター(受容体)から構成されています。

脳出血による左片麻痺の改善事例 装具なしで自宅内を歩行可能になる(動画あり)

【治療前のお客様の状態】
・脳出血を発症したことにより、左片麻痺、強い感覚障害がある
・左手足のこわばりが強く、左足部にボツリヌス療法(ボトックス注射)を数回行った
・装具と杖を使用することで歩くことは可能だが、不安感や恐怖心を常に感じていた。

【改善内容】
・装具なしで自宅内を歩くことが可能となる
・歩く際の不安定感や恐怖心が軽減した
・右の踵が浮かなくなった。

動画を交えた詳しい事例内容についてはこちらをご覧ください。

片麻痺と装具
【動画あり】脳出血 左片麻痺の改善 装具なしで自宅内を歩行可能となった事例のご紹介

装具を外した生活を少しでも取り戻したい方へ

脳梗塞リハビリBOT静岡では脳梗塞の後遺症による片麻痺の改善のためのさまざまなメニューを用意しております。まずは一度相談したいという方には「専門家への電話相談」というサービスをご用意しております。以下フォームから必要事項をご入力頂くと、脳梗塞リハビリBOT専属の理学療法士から折り返しご電話をさせていただいております。ぜひお気軽にご利用下さい。また何年も同じ装具を使い続けていて自分に合っているのか不安な方も、是非一度ご相談頂けると幸いです。
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加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

2012年に常葉学園静岡リハビリテーション専門学校を卒業し、理学療法士免許を取得。資格取得後は整形外科やスポーツ現場、介護サービスにて様々な分野のリハビリテーションに携わる。介護現場ではお客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事する。2018年から脳梗塞リハビリBOT静岡の所長に着任、脳梗塞の後遺症に悩まれている方のリハビリやご家族の支援も行う。また地域リハビリテーションにも力を入れており、介護予防教室を50回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対する講演や大学教授との共同研究等を行っている。地域の皆さんがいつまでも生きがいを持って生活できるよう、最善のリハビリを提供することを心がけている。

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